不動産投資家は孤独な稼業?
昨日、不動産投資家が集まるコミュニティにゲスト講師として参加し、一つの銀行から7億円の融資を引き出した経験についてお話しさせていただきました。
参加者は既に1棟以上の物件をお持ちの方ばかりで、どなたも志の高い、熱いビジネスマインドをお持ちの方々とお見受けしました。
しかし不動産投資は十人十色。誰かが成功したノウハウがそのまま当てはまるというわけにはいきません。物件もさまざま、融資をひく個人属性も違う、そして時期や場所も異なります。
物件を取得した後も尚、空室や修繕に悩まされたりして、考え、行動し続けなければならないのです。
だからこそ、不動産事業を行う人は、最後に「自分の判断」「自己責任」を強く意識してコトにあたらなければならず、そういった観点では常に「孤独」なのかもしれません。
そんな人達との触れ合いを通じて、セミナー後の参加者アンケートを読みながら、私が思う「不動産投資家の本音」に気づいたことがありますのでお伝えします。
1.成功事例よりも失敗事例の方が受け入れられる。
これは決して、人の不幸を笑いたいということではありません。
うまくいった人の例も参考にはなるのですが、
前述の通り自分とは環境もタイミングも異なっていることを知っているので、
「同じようにはいかないんだよなぁ」となることが多いようです。
その点、失敗事例や直面している悩みなどについては、
「いつか自分も同じことを経験するかもしれない」
という共感を呼び、自分なりの対策と心構えができるのです。
何より「うまくいかないのは自分だけじゃない」
と励まされ「自分はまだまだ努力が足りない」
と発奮するきっかけになるようです。
2.自分が質問したいことは多くの人も質問したい
セミナー終了後に「質問はありますか?」と尋ねます。
活発な参加者は積極的に手が挙がり、
応答もしっかりと行えるので気持ちが良いです。
しかしアンケートを読んでいると、
ずっと下を向いていたような人から
鋭い質問が寄せられることが多々あります。
今回も「物件取得後の経営改善の具体策について聞きたかった」
とか「法人設立のポイントについて」など、
「あー、あの場で質問してくれれば適切なタイミングで答えられたのになぁ」
と思いました。
恐らく質問者は、
自分だけの個別事情なんて、この場で聞くのは恥ずかしい
と思ったのかもしれません。
でも実は、多くの人が同じような疑問を抱いているのです。
これは講演者としてその人の意見を引き出す雰囲気を
作れなかったことを反省すると同時に、
自分が質問する立場になっても、
それはきっと他の人も感じているはず、
と思って良いのではないか、
と考えました。
ですので、セミナーに参加する時は、ぜひ
勇気を持って質問することをお勧めします。
それが共感を呼び、仲間が増えるきっかけになるかもしれません。
人前で講演するときは、いつも新しい発見があって楽しいです。
そして何より
「伝えること」はとても大切なこと
と感じます。
これからも、うまくいかなかったことをどんどん共有して、
たくさんの仲間が増えていけば、
どこかで助け合う人脈もきっとできるんだと、
私は信じています。
関連記事
妻に反対されない不動産投資の進め方 3つのポイント
サラリーマンの副業として不動産投資を始め、本を読んだりセミナーに参加して知識を習得し、不動産会社の人とも仲良くなってようやく辿り着いた「初めての物件」。
いざ銀行で決裁の当日、奥様から
「やっぱりどうしても◯千万円もの借金の保証人にはなれない」
と言われ、成約が白紙撤回になる
ということが結構な確率で起きているそうです。
契約が行われないということは、もう一度買主を探し融資付けをし、売買契約書を作成するという作業を1からやり直さなければなりません。普通はこの段取りに1ヶ月くらいを要しますから、万が一こんなことになれば、不動産会社も銀行も売主も、全ての関係者が不幸になってしまいます。
そのためか、最近は私が仲介不動産会社の方に初めてお会いすると、かなりの確率で
「奥様は不動産投資のことをご存知ですか?」
と尋ねられます。
やはり、土壇場で奥様に反対されるのは決して稀なケースではなさそうですね。
実際、私がコンサルティングをして物件を購入された方の中にも、
かなり良い物件なのにも関わらず
奥様に大反対されて頓挫したことがありました。
それでも彼は必死で奥様を説得し、
何とか物件購入には漕ぎ着けましたが、
奥様がどうしても
「保証人にはなれない」
とのことで、
止むを得ず「保証人無し」の
融資契約を結ばれたそうです。
一方、私は不動産投資を始めた時から
家族に反対されたことは一度も無く、今でも家族みんなに応援されてこの仕事をしています。
それぞれにご家庭の事情は異なるので、
これがいいとは言いきれませんが、
私が家族に応援されている理由
をお伝えします。
1.家計は全て自分が管理している。
我が家では、私が家計簿をつけています。
毎日の出費を項目ごとに分類してExcelファイルに記録し、カード払いや公共料金の引き落としから学費、保険、ローンなど、すべて私の管理下におかれています。
ですので、今、ウチにどのくらいお金があるか、を完全に私が把握しているので、妻も口出ししようとせず、全面的に信頼されています。この件においては「夫婦」というよりもはや「親子」のような関係なのかもしれません。
そのため私の「小遣い」などは1円もなく、自分が遣わなければそれだけ家計が助かる、といった状況です。その分プレッシャーもあり、いつも家計のことを気にしなければなりません。本音を言えば私も世の中の多くのお父さん族と同じように、「お小遣い制」にしてもらって時々前借りを頼むことが夢でした。
2.子どもにも仕事の内容を説明する
高校生と中学生の子どもがいますが、購入した物件は家族で観に行き、そこから得られる収益と、かかる経費について、ざっくりと説明します。すると子ども達も興味が沸き、満室にするための内装のアイデアなどを話してくれたりします。
また、消費税還付のために本来はいくらの税金がかかっているのか、物件価格から固定資産税評価額の割合に応じた土地・建物価格の分解を、いつも娘にやってもらいます。彼女は連立方程式を使って建物の価格を割り出し、私の仕事を手伝えることに誇りを感じてくれます。
「奥さんや子どもにもわかるように」シンプルに説明することは侮れないほど大事で、金融機関や不動産会社との面談時に自分の課題ややりたいことを明確に伝える際の訓練になります。
3.不動産収入で得た利益を家族に還元する。
妻とは月に一度、平日に休みを取って豪華なランチに出かけます。「不動産投資で成功している人はみんなこんな感じ」「早く会社を辞めて毎週行けるようになりたいね」などと話します。ランチなので実は一人分2,000円〜3,000円くらい。大したコストではないのですが、何より平日の昼間にデート感覚で時間を過ごせることが喜ばれます。
子ども達は不動産のおかげでアメリカに留学できたり高額の塾に通うことができました。その都度、金額を意識して取り組ませているため、本人も無駄にしないように一生懸命がんばるので良い結果につながります。
この他、家族旅行に出かける時もちょっとだけ贅沢をして、いつも「不動産のおかげ」と言っているので、この事業の恩恵を受けて自分達の生活が豊かになっていることを、家族みんなで実感するのです。
とはいっても本当にスゴい贅沢をするのではなく、お土産をケチらないとか、買い物で悩んだ時には品質の高い方の商品を買うとか、ほんの些細なことです。
従来なら、その些細なことを切り詰めて「節約」することを美徳としていましたが、今は家族の気持ちを一つにするための「投資」と考えれば、安い経費ではないかと思うのです。
いかがでしょうか。
共感された方、どうぞお試しあれ。
関連記事
単身世帯向けとファミリータイプ、どっちが賃貸経営に向いているの?
物件を購入する時、間取りはどんなものがいいのか、収益性の観点で迷う場合があります。
ときどき「自分が住むなら」という感覚を持ってしまう方がいますが、残念ながらそれはあまり意味がありません。
その物件に住む人の年齢・性別・職業をはじめ、ターゲットはさまざま、土地や環境、駅からの距離なども複雑に絡んできます。
そして人々に事情や好みも多岐にわたっていますので、ご自身の好みを入れると判断を間違えることがあります。
でも正直なところ、「物件概要書」にある「間取り」の欄に「1K」とか「◯LDK」とかの表示を見て、それが良いのかどうか迷うことがあります。
そんな方のために、私の経験から、部屋のタイプのよるメリット・デメリットを簡単にまとめてお伝えします。
まず、物件のタイプは大きくわけて
1部屋タイプの「単身世帯向け」 と
複数の部屋を持つ「ファミリータイプ」
があります。それぞれの特徴を簡単にお話します。
単身世帯向け
独身者や単身赴任者が中心で、部屋の入退去が激しい。
つまり入居づけをしやすい反面、退去も早い、ということです。
【単身者向けのメリット】
退去した時のリフォーム代が安い。
比較的、客付けがしやすい。
家賃単価が安く、値下がり幅が小さい。
【単身部屋のデメリット】
単身者ならではの事情として、転勤や結婚などで退去するきっかけが多い。
契約期間は大体2年。部屋に特徴がないと、簡単に新しい住まいを求めて退去される。
入居付けの時期が、卒業や転勤のシーズンである3月や9月に偏ることがある。
*単身用は単価が安くても、1棟に占める部屋数が少ないと、空室が出たときの収益に与えるインパクトが大きいので、できるだけ部屋数が多い物件を選ぶ方が良いですね。
ファミリータイプ
家族は一度住んだらなかなか住居を変えないので、長く住んでもらえる。
その代わり選ぶ方が慎重になるため、競合物件との比較が厳しい。
【ファミリータイプのメリット】
一度契約すると長期にわたって住み続けてもらえる傾向。
駅から遠くても環境が良ければ問題なく、敷地内に駐車場がある物件なら駅からの距離はまず心配ない。
【ファミリータイプのデメリット】
一旦退去されると、長年住んで傷んでいることと部屋が広いこともあり、リフォーム代に50万円くらいかかる。
比較される競合は賃貸よりもむしろ「分譲」。「家賃を払うか家を買おうか」で悩まれるので、グレードは高いレベルで維持しなければならない。そのために設備にもある程度のお金がかかる。
何か一つでも弱点が浮き彫りになると、管理会社の「決めよう」という優先順位が下がる。そうなると空室期間が長くなる。
以上、細かくはその物件の立地や需要の度合いによってももちろん変わってきます。
とりあえず物件概要書の情報から覚えておいた方が良い感覚を、
私の所有物件からの実感でお伝えしました。
関連記事
サラリーマン思考は捨てろ!不動産投資で迷わない融資判断のコツ
いい物件が見つかったけれど、生まれて初めての高額な借金を背負うのは、どうしても踏ん切りがつかない。
そんな思いに悩まされることは誰にでもあることです。
ましてやあなたがサラリーマンだったなら、それこそ自分の家を買う時よりも高い物件の融資なのですから、
「もしも失敗したらどうしよう」
なんて恐怖感さえ覚えたとしても不思議ではありません。
しかし、そんな不安を乗り越えなければ、事業の世界で成功することはあり得ないのです。
サラリーマンがサラリーマン思考のままでいると、いつまでもサラリーマンの境遇から抜け出せないのです。
「そんなこと、わかってるよ!
でも・・・」
というあなたには、私の経験から富裕層の知人から学んだお金に対する考え方をお伝えします。
それは、
直面した金額の「0」を2つとって考えること
です。
1億円なら100万円、100万円なら1万円、
という風に。
そうすると、まぁいいか、と思えてきませんか?
例えば、
年間200万円のキャッシュフローを得るために
家賃年収1,000万円を生み出す物件を、1億円借りて買う。
これを「0」をふたつ取って考えると
年間2万円のキャッシュフローを得るために
家賃年収10万円を生み出す物件を、100万円借りて買う。
こんな感じですね。
100万円くらいの借金でしたら、車を買う時だって普通にあり得ます。
でも、車はお金を生み出しませんが、収益不動産は毎年お金を生み出してくれるのですよ。
1億円が100万円に見えてくると、投資判断はずっとラクになります。
思えば富裕層の方々は、いつも大きなビジネスをしていて何千万円・何億円というお金を動かしているので、自然にこういった考え方ができるのかもしれません。
「今1,000円を投資したら1万円になるよ」
と言われたら、きっと多くの人が「衝動買い」するのではないでしょうか。
しかし、同じように10倍になるにしても、
「100万円を投資したら1,000万円になるよ」
と言われたら、だいぶ多くの人が躊躇すると思います。
それは日頃の生活レベルで身近に感じられる金額の範疇でお金を捉えているからです。
1000万円を得る為に100万円を借りてでも用意する
のが事業家のマインドです。
100万円が1万円に見えてくると、投資判断はずっとラクになります。
“0”を二つとって考える
ことが、不動産投資の借金に対する不安を払拭する一つのコツですね。
しかし絶対注意していただきたいのは、だからといってお金を軽んじて次々と投資につぎ込んでしまうようなことは避けなければなりません。
あくまでも確実性の高い物件を買うときの
「背中を押す一声」
とお考えいただればと思います。
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不動産事業に融資する金融機関のスタンスを知ろう
日本テレビのドラマ「花咲舞が黙ってない」を観ていると、融資にまつわる銀行内部の不祥事をテーマに、女優の杏が扮する銀行員・花咲舞が悪者を次々と反省させるという痛快なシナリオにスカッとします。
その時、融資を願い出る中小企業の経営者の大半は
「5,000万円融資してくれないと倒産してしまう」
「あと3,000万円、何とか都合つけてくれないか」
と融資担当者に言い寄っています。
また、NHK朝の連続テレビ小説「まれ」では、パティシエを目指す主人公が自分の店を出すために農協へ企画書を提出し、350万円の融資承認を得たものの、申し込み用紙に判を押す段階で、その金額の大きさにためらうシーンが印象的でした。
一方、不動産投資の融資額は1億・2億もザラにあり、350万円ではワンルームマンションさえ買うことができません。それだけ一般企業に比べて融資の額が大きい、ということですね。
金融機関は、事業を営む会社に対しては、数百万円・数千万円の融資のために、徹底的に事業計画を追求・調査し、厳しい稟議書を通して承認していきます。
不動産事業であっても稟議書は必要ですし、事業の安定性を見極められることは同様です。
しかし、
一般企業に対して行う融資と、不動産事業に対して行う融資には、大きな違いがあります。
それは 不動産賃貸業の場合、
万が一その事業が失敗しても、
融資回収がゼロになってしまうことが極めて少ない
ということです。
なぜなら、他の事業と違って不動産事業の融資には
土地と建物が担保に入っているからです。
金額の大小ではなく、担保価値に大きく依存されると言っても過言ではありません。
逆に
担保さえしっかりしていれば、何億円もの融資も充分可能です。
それだけ不動産賃貸業は安定的な事業であると認識されているのです。
銀行目線から観れば、もしもお金を貸したオーナーがうまく経営できずに空室が増え、収入が減っても、借金が返せないならばその物件を取り上げることができるので、貸し倒れになる確率がとても少ないと言えましょう。
もちろん金融機関はその物件を売却して現金を回収するわけです。
逆に、だからこそ物件の担保価値が重視され、
その金融機関ならではの評価基準・評価方法をもって物件を審査します。
金融機関によって融資をしやすい物件とそうでない物件がある
のはこのためです。
同じ金融機関でも、時期・支店の考え方によっても異なってくるのです。
したがって、
1つの銀行に融資を断られたからといって諦めず、
いろいろな金融機関に問い合わせてみることが大切ですね。
関連記事
不動産投資・はじめの1棟目を決める5つのポイント
「収益不動産を買いたいんだけど、マンションかアパートか、築何年くらいが良いのか、どんなものを買えばいいのかわからない」
という質問をいただく時があります。
そうですね。物件情報はたくさんあって、仲介業者さんから
「これはお得ですよ」
なんて言われると、信じたくなるけれど、金額は大きいし、後悔しない判断って、余程の知識がないとできないのでは? と不安になる気持ちもよくわかります。
そこで私が初心者の方にお勧めする、
とーってもシンプルな判断基準をご紹介しましょう。
かなり極論で、キッパリ言い切ります。
他の視点もありますが、一般論を唱えても仕方がないので、
あくまでも私の経験上の「実感」でお伝えします。
では一棟目を買うならこんな物件!!
5つのポイントをチェック!!
1.「構造」はRC造もしくは鉄骨造。
理由:銀行の融資ができるだけ長く取れるからです。
2.「築年数」は30年未満。
本当は20年未満の方が良いですし、築浅であれば良いに決まっています。
しかし、築浅の物件は価格が高く、オーバーローンが出難いので、
最大の妥協レベルとして30年未満としました。
3.「場所」は全国どこでも良い。
車で2時間以内に行けるところ、という考え方を時々耳にしますが、近いからといって何か有利なことがあるわけではなく、視野を広げるという意味でも場所にはこだわらない方が良いです。
4.「利回り」は最低でも9%以上。借り入れ金利とセットで考える。
利回りだけに気を取られると誤った判断になりますので要注意。
10%以上のものがあればラッキーですが、
その際には「なぜそんなに利回りが高いのか」をよく理解した上で決断しないと、
後々トラブルに悩まされるリスクもあります。
でも初めての物件はせめて9%以上を押さえておかないと。
そして収支は借り入れ金利によっても変わってきますので、
常に「利回りと金利」をセットで考えましょう。
利回り−借り入れ金利=6%以上
になるように。
5.「間取り・形態」は ”レジデンス”。
売りに出される物件には大きくわけて
・住居だけで構成される「レジデンス」
・店舗などのテナントを入れる「ビル」
・1階が店舗、上層階が住居という「複合型」
の3種類があります。
「ビル」の方は、比較的利回りが高く魅力的に見えるのですが、1店舗あたりの家賃も高いです。
つまり、一旦空いてしまうと次のテナントが決まるまで収入に与えるインパクトが大きい。
リスクの高い案件です。
テナント募集に自信がある、
という人はチャレンジしても構いませんが、
ただ利回りの高さに惹かれて買うのは危険です。
一方「レジ」はターゲットが広いため、
管理会社も客付けがしやすく、
ノウハウを蓄積していることが多いので安心です。
「複合型」の場合には、物件の場所や現在利用中のテナントの特徴をよく分析し、
今のテナントが倒産する懸念・駅からの距離など次のテナントが入る可能性などをよくリサーチしてから決めるべきです。
「レジ」よりもリスクが高いことは覚えておきましょう。
以上、物件を検索するとき、もしくは仲介不動産業者さんから物件を紹介されたとき、
まず最初におさえておきたいポイントです。
関連記事
不動産で大失敗をする確率
不動産投資を始めるには、何千万、何億という、
今までに見たことも考えたこともない金額の融資
つまり借金をするケースが多いので、
「もしも失敗したらどうしよう」
「そんな大金、絶対に返せないと思う」
と思って尻込みするか、
自分とは別の次元の話だと思っている方が
たくさんいるようです。
でも、そういうことを考える時、
私がメインバンクにしている銀行の支店長から聞いた言葉が
とても印象に残っています。
不動産業は、他の事業者にお金を貸すよりよっぽど安全なんです。
例えば飲食店なんか、当たり外れがわからないでしょ。
うまくいかなかったらご本人も気の毒だけど、
銀行としてもお金を返してもらえなくなるのが一番困る。
飲食店の場合、創業時に店舗を借りたり、機材を準備したりして
少なくても1千万円から数千万円単位でのお金がかかります。
そして万が一、経営不振に陥ったら、
手残りがゼロになることもあり得ます。
最悪のケースでは、銀行が貸したお金を回収するために、
お店の設備や在庫品を売り払うことがありますが、
それでも全額は、まず回収できない。
その点、不動産賃貸業は、
①経営者の手腕に委ねられる部分が少ない
(誰がやっても大きな差が出ない)
②土地と建物を担保にしているので、
いざという時に、貸したお金を回収できなくなる心配がない。
という理由で、他の事業よりも
「回収できなくなる確率」が非常に低い
のです。
とおっしゃっていました。
「回収できなくなる確率」のことを銀行では
「貸し倒れ率」と呼ぶそうですが、
一般事業の貸し倒れ率が2%くらいあるのに対し、
不動産事業の貸し倒れ率は、0.2%程度だそうです。
不動産融資に積極的な銀行でこの割合ですから、
普通の銀行ではもっと少ないことは間違いありません。
つまり、それだけ
「借りたお金を返せなくなる確率」が低い
ということですね。
そういうことをわかってくれている金融機関からは
比較的融資をしてもらいやすくなります。
確かに私も、不動産賃貸業を始めて5年以上になり、
多くの同志を知っていますし、
業界内のアンテナも張っていますが、
「やらなきゃよかった」
「失敗してどうにもならない」
という話は、噂すら入ってきません。
全ての金融機関がそう考えてくれるとやりやすいのですが、
実際は、よくわかっているところと、
そうでないところがあります。
考え方の違いです。
でも銀行の方針は数ヶ月や半年、一年でよく変わりますし、
支店や担当者によっても
随分違うことがあります。
ですので、
自分の目的・事情に合った金融機関、
理解してくれる担当者に出逢うこと
も、不動産事業にとっては大切な要素になります。
関連記事
日本のガウディがつくった賃貸マンション
先日、TVを観ていたら、
建築家・芸術家で
「日本のガウディ」と異名を取る、
梵 寿綱(ぼん じゅこう)氏(本名:田中敏郎さん)
が手がけたマンションが紹介されていました。
不動産賃貸業としての究極の夢は、
自分で土地を持ち、
好きなようにデザインを考え、
自分の企画したマンションを世の中に提案して
入居者を幸せにする
ということかなぁ、と思ったります。
もちろん、ボロい物件を安く買って、
ちょこちょこっと手を入れて人が住めるようにし、
家賃を上げるかそのまま売ってしまい、
大きな利益を得る、というのが
「プロの不動産投資家」としての王道です。
でも、そんな風に利益だけを考えるのではなく、
自分で魅力的なものを創り上げる自信のある人は、
この人のようにできるのだなーと思い、
凡人とは違う次元でマンション経営をしている人と
その素晴らしい作品である住居を
羨ましく眺めた次第です。
この方は、
ビルを「美瑠」、
住いを「寿舞」 と呼び
豊かな生命の輝き溢れる建築を
現代に創生しようと苦闘する異端の建築家だそうです。
物件名は「ドラード早稲田」。
外観から共有スペースまではかなり奇抜な印象ですが、
個々の部屋の中は至って普通の内装であるため、
生活する分には普通の住居として過ごせるそうです。
(今回はぬいぬいさんのブログから少し引用させていただきました)
これはもう、建築コストとか、管理費とか修繕費とか、利回りとか
細かい賃貸業の理屈を越えて、自分の理想郷を
どこまで実現できるか、といったチャレンジですね。
さすがにここまでは・・・
と思ってふと現実にかえりますが、
世の中にはこういう夢を実現している人がいることを
いつも忘れないでおきたいと思います。
関連記事
知らないと落とし穴にはまる。収益物件の「利回り」の罠
収益不動産を選ぶ時、広告に表示されているのは
「表面利回り」といって、
物件価格に対し、満室の時の家賃収入がいくらになるか、
という価値の目安にされています。
つまり、1億円の物件に対し、
満室時の家賃収入が年間1千万円のとき、
表面利回り10%
と表記されます。
満室時の年間収入が800万円のときは
表面利回り8%
という風にですね。
ではなぜ「表面」という文字がつくのか。
それは文字通り、とても表面的なものだからです。
ベースとなるのは「満室」時。
でも一年中、一度も退去がない物件って、
結講珍しいのです。
例えば1棟のマンションに10部屋あるとして、
それがすべてワンルームの単身世帯だった場合、
入居者が大学を卒業したり、会社員で単身赴任が解かれたりする人は
普通にいますから、そうするとやがて退去の時期が来ます。
業界の契約期間は通常二年間なので、
一年を通じていずれかの部屋が契約満了を迎える可能性は
十分あり得るわけです。
その時に契約を更新する人もいるし、
転居を考える人もいます。
そして、一旦退去があったら、
その部屋をきれいにクリーニングし、
必要に応じてリフォームしたりして、
新しい入居者の募集に備えます。
そこには当然、費用がかかります。
そしてオーナーは、
新しい入居者を募集する際には「広告費」を、
入居が決まった時には「仲介手数料」を
不動産業者に支払います。
これが大体家賃の2〜3ヶ月分になります。
ですので、
一旦退去者が出ると、
その月の家賃がもらえなくなるだけでなく、
あっという間に数ヶ月分のお金がとんでいく、と
覚えておくと良いでしょう。
ですので、「表面利回り」とはあくまでも表面であって、
かなりあり得ない「一年中満室だった場合」と想定されて
いることを認識しておいてください。
優良な物件運営の場合、私の経営実績の実感も含めて
表面利回りのおよそ95%程度だと、ラッキーな方です。
建物が古くなれば家賃下落もありますので、
最悪時を想定して表面利回りの80%とか、
年々2%ずつ減らしていく、
といったシビアな見方をする投資家もいます。
いずれにしろ物件を取得したら、
表面利回り通りの収入が入る、などと安心・油断してはいけません。
できるだけ100%に近づけるよう、
自らの弛まぬ経営努力が必要になるのです。
関連記事
諦めないで!収益不動産を買う時に必要なお金と融資の関係
投資物件を選ぶ時、売買価格だけを見てしまいがちですが、
残念ながら購入時には売買価格だけではなく、
もう少しプラスのお金が必要になります。
それは
「諸経費」
といって、大きく分けて次の5つが挙げられます。
《諸経費の内訳》
①仲介手数料(不動産業者に支払う謝礼)
(物件価格の3%+6万円)
②登記費用(所有権移転、抵当権設定)
(司法書士さんに支払う費用です)
③固定資産税の精算金
(固定資産税は引渡しの日からその年の12月31日までの分を日割りで清算)
④管理費の精算金
(引渡しの日の月末までの分を日割りで清算)
⑤不動産取得税
(購入してから2〜3ヶ月後に税務署から請求が来ます)
これに売主側からは
家賃の残り(引渡し日から月末までの分)と
預かり敷金(退去時には入居者に返還するもの)を受け取るので、
上記の支払い分と相殺します。
細かいことは割愛して、
およそ物件価格の7%くらい
は諸経費がかかると思っておくと良いでしょう。
例えば
5,000万円の物件なら350万円、
7,000万円なら490万円、
1億円なら700万円、
ですね。
ですので、物件を担保に融資をお願いする時は、
「せめて諸経費の分は自分で出してくださいね」
と言われるのが普通です。
また、もしも担保価値が物件価格に見合わないとき、
つまり売買価格は1億円なのに、
金融機関から見たその物件の評価は8,000万円分しかないよ、
と言われた場合には、
8,000万円しか融資してもらえないので、
残りの2,000万円と諸経費700万円は
自己資金で賄うことになります。
なんだ、やっぱり自己資金がなきゃダメじゃん、と思った方、
諦めるのが早過ぎます。
この考えを逆手に取れば、
売買価格が1億円で、
金融機関の評価が1億1,000万円の物件であれば、
1億1,000万円を融資してもらって
諸経費700万円を支払っても
まだおつりがきますね。
これを業界用語で「オーバーローン」と言います。
ちなみに物件価格と同等の金額を借りるのは「フルローン」。
初心者の投資家で自己資金のない人でも、
オーバーローンを狙っていけば、手持ちが全くなくても
物件が買えるのです。
でも、売買価格を越える評価をしてくれるような物件って
本当にあるの?
と思うでしょうが、もちろんあります!!
それを探すのが、「自己資金ゼロ」から始める不動産投資の
醍醐味なのです。
当然ながら、そういう物件は誰もが探し求めているため、
非常に、非常に競争率が高いです。
市場に出ると、数時間、数分で売れてしまうこともザラにあります。
だからこそ、
・いつでも「買おう」というマインド
・「絶対に見つける」という強い意志
・不動産業者を中心とした広い人脈
が必要なのです。
でもそれらを持ち続ければ、必ず、想いは叶います。
諦めない限り、道は拓けます。
そう、少なくとも私が実証済みです。
関連記事
不動産投資のための金融機関選び
何千万円、何億円という金額で不動産投資をするには、
ほとんどの方が金融機関から融資を受けます。
つまり、不動産事業と融資は切っても切れない関係にあります。
では、自分に融資してくれる銀行なんてあるのだろうか。
と考えた時、大抵の人は「あるわけない」と思い、
やる前から諦めている、というケースが多いようです。
金融機関にはいくつかの特徴がありますので、
参考までにご紹介します。
1.メガバンク
いわゆる全国に支店のある有名な銀行。
三井住友、みずほ、三菱東京UFJなどです。
場所がどこの物件であっても融資の対象になります。
借入金利がとても低い(1%〜1%未満)。
ここで融資してもらう
ことができれば不動産事業としてはかなり安泰。
でもそれなりの信用力が必要で、過去の実績(年収や事業成績)、
十分な自己資金(物件価格の2〜3割程度)が求められます。
2. 地方銀行
横浜銀行、千葉銀行など、県や市の名前を冠した金融機関。
地元に密着した金融機関で、
物件の場所が銀行の管轄エリア内にあることが原則。
金利も比較的安い(1〜2%台)。
借換を積極的に受けてくれるところもあり。
不動産に積極的な銀行も多いので、メガバンクに比べて
それほどハードルが高くない。
3. 信用金庫
個人事業主や零細・中小企業の味方。地域を限定されることは
致し方ないが、地方銀行よりもさらに融資が下りやすい傾向。
金利は(2〜3%)のところが多いが交渉次第。
特に1億円以下程度の小規模物件では可能性大。
4. 日本政策金融公庫(国金)
事業を営む者を前向きに救済していく、というありがたい方針の、
国が運営する金融機関。
民間の金融機関では融資が難しい、と言われる人(会社)
に対しても積極的に貸し付けを考えてくれます。
金利は2%台で、不動産事業には7,000万円程度まで
貸してくれます。
創業支援や女性経営者、30歳未満や60歳以上など、さまざまな
特典制度も用意されています。
5. 不動産融資を積極的に行っているやや特徴的な銀行
スルガ銀行、オリックス銀行、静岡銀行など。
金利は3%台〜4%台と高め
ですが、物件の価値を先に評価して
さあ借りる人は手を挙げて、といった感じのスタイル。
不動産会社と密接に結びつき、
紹介後、決済までのスピードが早い。
以上はあくまでも参考知識として把握されることをお勧めします。
実際には個別事情により状況が大きく変わってきます。
大切なことは、はじめから決めつけない、思い込まないことです。
そのエリアの市況や時期、銀行の考え方もよく変わります。
そいうことを見極めながら、
とにかくコンタクトを取り続ける、
挑戦し続ける姿勢
が大切です。
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融資はコワイ!?不動産投資における金融機関との接し方
不動産投資、できるならやりたいけれど、
どうせ私はお金持っていないし、
貸してくれるところもありゃしない。
と思っている方、、、普通です!
それが普通の考えです。
でも、そもそも不動産を現金で買える人は
ほんの一握りですし、本当にそうであるならば、
ここ何年もの間、サラリーマン大家など
生まれてこなかった筈です。
不動産事業は、売る人・買う人・仲介する人・お金を貸す人
全ての人がHappyになるビジネスです。
全ての人が利益を得られる。
だからこそ、もっと自信を持って、
この不動産事業に目をつけた自分を
しっかりとアピールするべきです。
そういう人に、金融機関はお金を貸したがっています。
「私、初心者なので、よくわからないんですけどぉ・・
多分もうかると思うのでぇ、
よかったらお金貸してくれませんかぁ?」
という態度の人には、誰も貸してくれません。
まずは、自分が不動産投資のプロであること、
そうなりきって、金融機関と接することが良いと思います。
でも、なかなかできそうでできない。
噓もつけない。。。
と思っている方、、、まともです!
少なくとも悪い人じゃなさそうです!
金融機関は最後に「人」を見ますので、
誰かを騙そうとしたり、噓をつこうという人も
かなり融資から遠のきます。
たとえ豊富な不動産知識がなくても、
・物件がある場所
・物件の築年数
・物件の価格
・物件の大きさ
・物件の特徴
この5つを知っていれば、それだけで金融機関は話を聞いてくれます。
あとは
「なぜあなたがその物件を買いたいのか」
をきちんと話せれば大丈夫です。
淡々と、普通の感覚を持って接すれば、
金融機関は「お客様」を受け入れてくれるのです。
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不動産事業で金融機関から融資を受ける際の心構え
不動産事業を始めるとき(=物件を購入する時)は
ほとんどの場合において、金融機関から融資を受けることになります。
特に自己資金が少ない、またはゼロである人にとっては
融資がなくては手も足も出ませんね。
別の言い方をすれば、融資さえ受けられれば
誰でもカンタンに始められるのが、不動産事業です。
しかし「融資を受ける」というのはカンタンにいかない
ケースが多いです。
では、金融機関(=銀行)はどんな考え方で
不動産経営者を見ているのか
という点についてお話しします。
まず、(銀行は)お金を貸したい、と思っている。
そりゃ、そうです。銀行はお金を貸すのが仕事ですから
売上=貸し付け額
なのです。
いつでも営業ノルマ(今月の貸し付け目標)がありますし、
お金を借りてくれる人は「お客様」ですので
「誰か借りてくれる人、いないかなー」と探しながら
日々を過ごしています(実話)。
次に(銀行は)お金を貸す人がきちんと返せるか、慎重に判断する。
これも当然です。お金を貸した後、返せるかどうかで
融資の額が決まります。
「貸したお金を返せるかどうか」を計る指標としては、
年収
勤務先
自己資金・資産(株など)
買おうとしている物件の価値
などがあります。
これらのどれも条件を満たしている人もいますが、
少なくとも2つ以上クリアできれば、
かなり融資を受けられる可能性が
出て来ます。
ですから、不動産事業を始めたい、と思う人は、
自分は「必ずお金を返せる人だ」
ということを
説明できる資料を準備する必要があります。
上記の指標を証明できる資料です。
その準備ができたら、
勇気を持って銀行へ行ってみることをお奨めします。
銀行は想像しているよりも冷たくないし、
融資を願い出る、という初めての経験をすることで、
いろいろな新しい発見もあります。
行動しなければ何も始まりません。
でも行動さえすれば必ず一歩前に進むことができるのです。
それが不動産事業の第一歩です。
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不動産事業を「投資」と呼びたくない理由
自分のお金を何かに預けて、それを殖やしてもっと大きなお金を
手に入れることを「投資」といいますが、その投資対象が
土地やマンションなどの不動産である場合、それを
「不動産投資」
と呼びます。
何とまあ回りくどい言い方をしてみましたが、
不動産投資は他の投資とは大きな違いがありますので
あえてこういう表現から始めます。
例えば自分のお金が100万円あって、
それで株や債権を買うと、
その時の価値は100万円ですよね。
でも、不動産の場合、100万円持っている人が
現金で100万円の物件を購入することはほとんどありません。
100万円持っていても、1,000万円の物件を
買えたり、もっと高額な物件を購入することができます。
極論すると、1円も持っていなくても、何千万もの物件を
購入できるケースもたくさんあります。
それはなぜか。
そう、銀行(正しくは金融機関)がお金を貸してくれるからです。
なぜ、銀行は不動産を買う人にお金を貸してくれるのでしょうか。
それは、物件自体が「担保」になるからです。
つまり、もしもその人がお金を返せなくなった場合、
担保になっている土地と建物を取り上げて売却すれば、
大体貸した分の金額くらいは回収できるから、
と踏んでいるからです。
そしてもう一つ、不動産投資で特徴的なことは、
所有している間、空室が出ないように工夫したり、
建物をキレイに保って物件の価値が下がらないように
する努力が必要になります。
つまり、
不動産投資は「投資」というより「事業」なのです。
銀行も、投資をする人になどお金を貸してくれる筈もなく、
不動産経営をする人に、
事業資金
としてお金を貸してくれるのです。
銀行の目線からは、普通にお店を出して商売する人にお金を貸す場合、
万が一その事業が失敗したら資金がゼロになって返してもらえなくなる
リスクがあるけれど、
不動産賃貸業の場合は、まず倒産することはないし、
いざという時には担保があるからよほど安全だ、
という考え方を持った銀行員も存在します。
(私を担当してくれている地銀の支店長の言葉です)
ですので、不動産で「月収」を得ようとする人は、
単に銀行からお金を貸してもらえば自動的に増えていく
などという「投資の概念」は捨て、
基本的に「賃貸業を営む」という
覚悟を持って臨むことをお奨めします。
「安く買って高く売る」という投資スタイルをお望みの方は、
本当の「投資家」となるべく
たくさんの資金を用意された方が良いと思いますし、
その場合には「月収」という考えは
当てはまりません。
不動産経営とは、入居者というお客さんがいて、
仲介業者、管理会社、設備業者、保険会社など、
たくさんのビジネスパートナーとともに運営する
れっきとした事業なのです。
だから私は、自分の活動を「不動産投資」ではなく、
「不動産賃貸業」もしくは「不動産経営」と呼ぶようにしています。
(タイトルは「不動産投資」の方がキャッチーなので、時々使っています)
銀行からお金を借りて事業を営む。
まずはそのマインドセットから始めましょう。
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管理会社は賃貸経営の重要なパートナー
不動産賃貸業を営む上で、
物件を購入する際に最も重要なパートナーは
「不動産仲介業者」ですが、
物件を購入した後に重要なパートナーとなるのは
「管理会社」
です。
いかに優秀な管理会社と組むか、が賃貸経営の命運を分ける
と言っても過言ではありません。
管理会社というのは主に2つの役割があり、
1. 賃貸料、更新料など、お金の入出金の管理
2. 清掃、メンテナンス等、建物を維持するという意味での管理
です。この文字を追っただけでも、大家業を営むのに相当重要な
役割を果たしていることがおわかりになると思います。
むかしむかしの大家さんなら、こういう管理は全て自分でやっていて、
「大家と店子」の関係があったかもしれませんが、
今の時代には専門の会社が何千とありますし、
ノウハウ化、システム化されていますので
いわゆるプロフェッショナルな仕事が確立しています。
もちろんオーナー自ら建物を管理することは
所有者として素晴らしいことだと思いますが、
まず素人がいろいろやってみても手間がかかるだけだし、
忙しいサラリーマン大家の場合には尚更です。
例えば家賃滞納があったり、廊下の電気が切れた、水が出ない、
隣の人がうるさい、などなど、あらゆるトラブルに全て自分で
対応しなければならないのです。
更に部屋が空いた時、自分で次の入居者を見つけてくることも
至難の業ですね。
ですから大抵のオーナーは、物件の客付け(=入居者を入れること)、
家賃管理、建物管理を、専門の管理会社に任せています。
「管理費」としてかかる費用は、
・入居者の募集〜賃貸料管理・・・家賃総額の3%〜5%
・建物のメンテナンス対応・・・家賃総額の5%程度もしくは定額
というのが相場です。
つまり、経営者としては、家賃収入全てが自由に使えるわけではなく、
例えば1,000万円の収入があるならその5%+5%=100万円くらいは
建物を安定して維持・管理するために必要な経費なんだ、
ということを覚えておく必要があります。
そして、管理会社にもさまざまなところがあり、
なかなか入居者を募集してくれなかったり、入居者のクレームが
あっても対応が杜撰だったりするところもたくさんあります。
ですので、
いかに優秀な管理会社と組むか
が不動産経営のカギを握る、と言っても過言ではないのです。
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不動産仲介業者はなぜ儲かるのか?
不動産売買では、物件を売る人がいて、その物件を買う人がいて
成立しますが、ではなぜ、その間に入る仲介業者が利益を得られる
のでしょうか。
それは、仲介手数料というものがあるからです。
売買価格の3%+6万円
が、法律で守られている上限としての基準です。
例えば1億円の物件を売買する場合、一般的には
売主は仲介業者に1億円×3%+6万円=306万円
買主は仲介業者に1億円×3%+6万円=306万円
を仲介手数料として支払うことになります。
もしも一つの不動産会社が売主と買主を引き合わせた場合には
両方を合わせた612万円
を得ることができます。
(業界用語でこれを「両手」と言います)
すごいですね〜。
売主から頼まれて、買主を見つけて
契約書を作って、金融機関との段取りをつけて
612万円!
仲介業というものは随分と割の良い仕事に見えますね。
では、売主が仲介業者を頼まず、
直接、買主を見つけて売買すれば、お互いの手数料を
節約できると思うかもしませんが、それは極めて危険です。
仲介業者は、ただ物件を紹介するだけでなく、売買に伴う
あらゆる仕事を請け負ってくれるのです。
- 売買契約書の作成と締結
- 金融機関への融資申込代行
- 引渡時の税金・管理費・家賃の清算
- 所有権移転登記・抵当権設定登記の手配
- その他全ての雑務
このため、不動産仲介業者は必ず「宅地建物取引士」(宅建)
という資格を持った人を最低1名、社に所属させなければなりません。
逆の言い方をすれば、宅建を持った人が一人いれば、比較的容易に
不動産仲介業を始めることができます。
それだけ参入障壁が低いとも言えます。
したがって、仲介不動産会社には様々な社風と
いろいろな人種の方々がいます。
六本木や表参道の一等地に豪華なオフィスを構える会社や
薄暗いマンションの1室を借りている会社、
軍隊のように統制の取れた会社、
たった一人で運営している会社などなど。
大きければ安心という訳でもないし、一人でやっているから信用できない
というものでもありません。
不動産の売買は、家が代々の資産家でもない限り、
ほとんどの人が初めて、もしくは不慣れな経験になります。
だからこそ、
自分のことを親身になって考え、
仲介をしてくれる業者さんとの出逢いがとても重要になります。
そういう不動産会社と付き合えるようになるには、
日頃から、
自分の目標や投資方針を明確にしておくこと
即行動・即判断できること
そして
常に感謝の気持ちを持って接すること
が大切です。
自分の準備ができたら、あとは手当り次第に
行動してみることから、投資家への道が始まります。
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不動産投資を始めるのに必要な準備とは
これから不動産投資をやってみようと思った場合には、
まず、不動産業者や金融機関にご自身のことを説明できる資料
を準備することをお奨めします。
《最低限必要な準備物》
・過去3年分の源泉徴収票(もしくは年収が証明できる書類)
・過去2年分の確定申告書(同上)
・所有している金融資産(預金、株券、年金、保険など何でも)
・不動産投資の目的、目標
特に最後の「目的・目標」の部分が実は一番大事で、
単に「余裕のある暮らしがしたいから」などという人には
誰も協力してくれません。
また「いつまでに、どのくらいの物件が欲しいのか」
と言ったことを必ず聞かれますので、
その辺も、根拠とともに
よく考えて準備されておくと良いでしょう。
では、資料が準備できたらどうアプローチすればよいのか、
というのが次の質問になるかと思いますが、
このコーナーの主旨は
コンサルティングではないですし、
方法は一つだけでもなく、
人によっても異なってきますので、
ここでは言及を控えます。
過去、私のセミナーに参加された方には、そのうち一つの手段をお話ししました。
もしも上記の資料が準備できた方で、本当に本気で不動産を購入したい
とご希望の方がいらっしゃいましたら、個別にご連絡いただければ
と思います。
それから、ぜひともお伝えしたいのが、
「あの人はOKでも、自分は買えないのではなないか」
「私は◯◯がないから無理じゃないだろうか」
「まず◯◯してからじゃなきゃダメなんじゃないか」
という人を時々お見かけしますが、
そもそもそのようなマインドでは
競争の厳しい不動産業界で希少物件を手にすることはまずできないと思いますので、
不安でいっぱいになったり自信を持てなかったりする方は、
やめておくことをお勧めします。
目標・意識をしっかりともつこと
何があっても諦めないこと
素直に人の話を聞くこと
こういったことが、不動産投資「でも」重要なことなんですね。
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不動産を買う時は築年数に着目すべし
収益不動産を選ぶ際、「利回り」「場所」についで着目されるのが
「築年数」
です。
平成7年築、とか、昭和62年築とか、収益不動産の案内書には必ず
明記されています。
もちろん新しければ新しいほど良いのですが、その分、価格も高くなります。
価格が高くなる、ということは「利回り」が低くなる
ということですね。
利回りのことがまだよくわからない方はこちら
新しくて、高くて、利回りの低い、もの を探すか、
古くて、安くて、利回りの高い、もの を探すか、
となると、通常はやはり、後者のケースが多いです。
では、どの程度古いものを選べばよいのか、の参考にするため
「法定耐用年数」
を覚えておきましょう。
各建物には、法律で定められた「耐用年数」というものがあります。
それぞれ建物の構造躯体によって変わってきます。
・木造 22年
・鉄骨造 34年
・RC造 47年
もちろん、実際の耐用年数=建物がどれだけもつか
とはかけ離れていますが、銀行などの融資機関は、
この法定耐用年数をベースに、ローンの返済期間を算出します。
この法定耐用年数ー実際の築年数
のことを「残存年数」といって、
法定上の残りの耐用年数として定義されています。
例えば、築10年の木造アパートの場合、
残存耐用年数は22年ー10年=12年、
築25年のRCマンションの場合、
残存耐用年数は47年ー25年=22年 となり、
この引き算された数値が、ローン返済期間の目安
になります。
ですので、
築10年の木造アパートより、築25年のRCマンションの方が、
銀行から長い期間、融資を引き出せる、
ということになります。
融資期間はできるだけ長い方が、月々の返済額が安くなって
経営がラクになります。
また、売却する際にも、法定耐用年数が残っている方が、
買う人にとって融資を受けやすい=売りやすい
という考え方もあす。
このように
「築年数」は融資期間に関係する重要な指標
ですので
物件をご覧になる際は必ずチェックされることをお奨めします。
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不動産会社のスーパー営業マンが語る、困ったお客さんとは
先日、懇意にしている仲介不動産会社の方と会食をする機会があり、
そこで
「不動産投資家で、嫌なタイプのお客さんってどんな人?」
と聞いたところ、とても興味深いコメントがありました。
なぜなら、私が勝手に想像する限りでは、
・お金を持っていないのに不動産を欲しがる人
が困ったお客さんと思われるのでは?と考えていたのですが、
全く違ったからです。
『仲介不動産会社にとって、困る人』は
① 人間関係を大切にしない人
② 何がしたいかわからない人
③ 決断できない人
だそうです。
特に①がダントツ1位で、
不動産業界は今だに「超アナログ」な世界で、人の感情や付き合いの上に成り立っていることが多いため、相手のことを大切に思わない人、配慮が足りない人は仕事がやり難く、結果的にうまくいかないケースが多いそうです。
時々、「買ってやるんだからもう少し安くしろ!」とか言って来る人が
いるらしく、こういうのは最悪です。
②・③は、自分が将来「どうなりたいか」という目的をしっかり持っていない人。その物件を手に入れることの価値がわからず、不動産は人によってメリットや基準が異なることも多いので、仲介としても自信を持って奨められなくなるそうです。だからいざという時の高額な投資判断もできない、となります。
一番意外だったのは、
大金を持っている資産家も、
困るケースの方が多いそうです。
別にどうしてもその不動産を買わなくてもいいし・・・、というスタンスのため、物件購入に対して真剣になり難いんですよ、とのこと。
逆に、
お金は無いけど志の高い人、
このタイプが最も不動産仲介業として
「やり甲斐を感じる」
そうです。
お金のない人ほどやる気があり、お金のある人はそこそこの意欲・・・。
ウーン。何となくわかるなぁ。
ですので、お金がなくても理想の高い人であれば、長いスパンで考えて
一緒に取り組んでいきたい、と思うそうです。
それが仲介業のやり甲斐
だと、はっきり言ってくれました。
何だか今日は勇気をもらえて嬉しかったです。
こういう不動産会社の方と組めれば、投資家としては万全ですね。
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収益不動産を買うなら、どんな場所を選ぶべきか?
「不動産を買うなら、自宅から2時間以内で観に行ける処に買いたい」
という人がいるようですが、思わず
「なぜ?」と
聞いてみたくなります。
自分が買った物件を、ときどきは見に行ってみたい
何かあった時にも現場に駆けつけられるようにしたい
と思うのかもしれませんが、時々見に行ったって、
何もすることないですよ。笑
外観だけなら一度見て写真を撮っておけば充分だし。
万が一、物件に何かが起きた場合には、
オーナーごときが現場にいても何もできません。
(あなたが業界の人で、知識とノウハウをお持ちなら話は別ですが)
素人のオーナーは、管理会社さんが対応してくれているところを、
ただ指を食わえて見ているだけになると思われます。
そんなことより大事なのは、
どこにいても管理会社の方ときちんと連絡が取れるように
しておくことです。
そして素早い判断をすること。
つまり、物件を買う場所は、全国どこでも大差ないんだ、
ということを覚えておきましょう。
また、駅から歩いて行ける距離でなければ、
というのも条件にする人がいますが、
実はこれも実際には全く問題ありません。
駅からバスで何十分もかかる距離であっても、
きちんと満室になっている部屋はいくらでもあります。
収益不動産とは、自分が住みたい部屋を買うのではなく、
その地域の需要の多いターゲットをにらんで買うこと
がベストです。
そんな正確なマーケティングはできていないんだ、という方は
まずは、
「物件はどこに買ってもいいんだ」
ということを
肝に銘じておくことをお奨めします。
これはかなりフワッとした内容ですが、
前にお話しした「利回り」の他に、物件の基準となりがちなのが
「場所」だと思っている方は、
その考えはすぐに改めた方が良いです。
どこにいても、どこに買っても、管理していけるのが
収益不動産の素晴らしいところです。
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