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不動産業界の厳しい採用事情

  2015/09/25    業界裏ばなし

9月21日付けの賃貸住宅新聞に、不動産会社の新卒採用に関するニュースが載っていました。
今年から採用規定が変わり、従来は4月1日から各企業が採用活動を始められていたところ、それでは学生の本業に支障をきたすとのことで、8月1日からにしなさい、となったそうです。

 

これによって一番被害を被るのが中小企業で、今まではまず大企業が内定を終えてから、それにこぼれた学生を抱え込んで面接し、採用につなげられていたところ、今年は8月から一斉に就職活動を始めるため、大企業と競合しながら採用活動をしなければならなくなるのです。

 

一方、世の中の「内定式」は、昔から大体10月1日で、春からの入社受け入れ準備のために、これをあまり遅らせることはできないでしょう。つまり、8月1日から9月30日までの2ヶ月間で、熾烈な人材獲得競争が行われるわけです。

 

そのため、中小企業では、一旦内定を出しても、後から大企業の内定をもらってキャンセルが相次いでいるそうです。中には21人に内定を出したところが、8月に入って8人が辞退したところもあり、こうなると何人が採用できるのか、ますますわからなくなってしまいます。

 

その影響がかなり大きいのが

不動産管理会社

です。

住宅そのものはとても身近なため、学生にとって、

「受けてみようかな」

という入口の敷居はそれほど高くないのですが、

逆に他の会社と併願されることも多いようです。

 

そして興味深いことに、不動産管理会社の内定辞退をした学生の入社先を聞いたところ、

「地元の金融機関」

という答えが多かったとのこと。

地銀は親にとって最も安心できる就職先なんだとか。地銀も採用人数を増やしていることから、親の強い勧めもあって、内定が出ればそちらに流れていくようです。

 

また、一口に不動産業といっても、

ディベロッパー系やオーナー業、

建物を維持する管理受託や、

賃料の管理をするプロパティマネジメント、

そして仲介業などいろいろな種類があり、

学生にとっては

その違いや特性を理解するのは難しいそうです。

 

私がお願いしている客付け会社の営業マンは若い方が多いのですが、考えてみると土日はまず休みが取れないだろうし、週休二日制というのも、必ず守られているのかどうかわかりません。我々の気づかないところで過酷な労働をしていることもあるのかもしれませんね。

 

そう考えると、「他に行くところが無かったから」というような理由で働いている人がいたら、あまり生産性の高い仕事はできないんだろうな、と思ったりします。せめてもう少し、賃貸仲介業のステイタスが向上すればいいのに。

トレンディドラマの主人公の仕事にでもなって、カッコいい営業マンとか、憧れ的職業のイメージになれば、もっと活性化されるかもしれません。

 

いずれにしろ賃貸仲介業は、人の幸せに貢献するとてもやり甲斐のある仕事であり、

不動産オーナーは、人に快適な住まいを提供する社会的使命を背負っている、と私は自負しています。

 

ですので、オーナーにとって最も大切なパートナーである賃貸仲介業の営業マンには、ぜひともモチベーション高く、誇りを持って働いてもらいたいものですね。

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