不動産投資の基本は「場所選び」から?
2015/09/27 投資の考え方
9月14日付けの全国賃貸住宅新聞に、
不動産投資の基本は場所選びから
というタイトルの記事がデカデカと1ページにわたって記載されていました。
「統計データを用いた市場分析が肝要」
というサブタイトルで、
国勢調査に基づく人口統計データ
各都道府県や市区町村別の将来推計人口データ
近隣施設や類似物件のデータ
その地域における賃貸物件の供給数や空室率のデータ
をチェックし、市場分析を行って、
その場所で物件購入や建築をするべきなのか、
辞めるべきなのか
の判断をしましょう、
とのことです。
ひえ〜、不動産投資って難しい。そんなのできないよー、
と思ってしまいました。
これは、
米国の不動産経営管理士資格に基づく市場分析手法
なのだそうです。
さすがはプロフェッショナルスキルの紹介コーナーに掲載されるだけあって、経営的思想が満載です。
不動産投資仲間の会話の中にもこのようにデータ分析が得意な方がいて、
◯◯エリアの◯◯率は◯◯なんだ
ということを自信たっぷりに語る人を見かけますが、
それが果たして「基本」や「本質」なのかは、個人的に疑問です。
例えば、ここ数年で開発された新興住宅地域で、
駅から徒歩5分のファミリータイプで築15年、
古くからの地主の相続案件で売り急ぎ、来月までの決済限定で
利回り12%
なんていう物件があったら、前述のデータをどう活用するのかなぁ、
などと考えてしまいますね。
確かに
学校・公共交通機関までの距離
騒音や暴力団系の施設の有無
病院やショッピングモール等の買い物施設
近隣の企業の従業員需要の有無
などは把握しておくべきですが、
それって「市場データ」という程にまで
追い込んで正確な数値で把握しておくべきもの?
という気がします。
私はサラリーマンとして営業や商品企画に携わった経験もありますが、
こういう市場データは、とかく行動を起こす前に大変な時間をかけて作り上げ、
みんなで会議の場で納得して実行を決断する重要な指標にはなるのですが、
計画が実行された後で、
その時の分析が正しかったのかどうか、
検証されることはほとんどありませんでした。
なぜなら、
施策実行後はまた次の施策を検討しなければならない
過去の実績を追いかけても、取り巻く環境の方が速く変わっており、
今後の参考にならない
となってしまうからです。
市場データ分析の必要性を否定するつもりは全くありません。
但し、
数値というものは
取扱い方・見せ方によって真逆の捉え方ができてしまう
こともあるので
素人の自己満足で終わってしまわないように注意が必要です。
重要なのは、この記事の筆者が
「日常から得られる感覚的な市場情報のみに頼るのではなく、定期的にこのような統計データを用いた市場分析を行ってはいかがでしょうか。」
と提案されている通り、
目に見える偏った事実情報を妄信するのではなく、
一歩ひいた観点での客観的データも合わせて把握する
のは大切なことだと思います。
何を優先するか、は人それぞれで構わないし、
同じ物件は二つとない
のが不動産ですから、
自分で納得し、自己責任の範囲でリスク回避しながら経営改善していくこと
こそが本質だと私は思っています。
そのためにも、不動産投資を通じて、
自分が何年後にどうなりたいか、
何をしたいのかが一番重要
で、全ての投資判断のベースになるべきだと考えています。
「不動産投資の基本は、目標設定から」
が私の持論です。