不動産の融資で「借換」を狙うなら、やる気を見せない方がいい
2015/09/26 業界裏ばなし, 自慢できない失敗体験
金融機関から高い金利で融資を引いて物件を購入し、後から金利の低い他の金融機関に借換える、というスキームを目指す不動産投資家がたくさんいます。
金利を下げてもらえれば、月々の返済額が少なくなるため、それだけキャッシュフロー(利益)が増えるからです。低金利での融資は、いわば全ての不動産投資家が求めることになります。
私はかつて、
金利4.5%で借りていた3億円近くの融資を、
地銀で1.2%に借換えました。
しかし、これを実現するまでには相当の紆余曲折、悩み、落ち込みを経験しました。
はじめに訪問した銀行は、紹介してくれた不動産会社さんから「お墨付き」のところで、まず先方も喜んで借換えてくれるでしょう、というくらいの明るい見立てでした。
そこで私は、その銀行に気に行ってもらうため、猛烈なアピールをしたのです。
熱い言葉その1
「こらからもどんどん買い進めて事業を大きくしていきます!」
熱い言葉その2
「不動産投資に人生を掛けています!」
熱い言葉その3
「借換えてくれたら貴行をメインバンクにします!」
これで気持ちが充分伝わったと、やりきった気持ちで返事を待つこと、2ヶ月。
結果は予想に反して全く逆の答えが返ってきました。
回答その1
「現在の所有物件はリスクが大き過ぎます」
回答その2
「サラリーマンなのに融資額が大き過ぎます」
回答その3
「せめてあと5千万円くらい返済が終わってから来て下さい」
そもそも2ヶ月も返事を待たせる、という時点で、銀行が後ろ向きであることがわかります。
(当時は気づきませんでしたが)
そして、これらの回答から想定できる
銀行の立場で物事を考えてみると、
専門家でもない人が、そんなに多くの不動産を買って大丈夫なのだろうか
本業が疎かになってしまうのではないだろうか
ちゃんと返済できるのだろうか
つまり「リスク」についてどれだけクリアできるのか、というの視点で見ます。
ですので、
一生懸命やっている
とか
規模を拡大したい
などということには全く興味がないのです。
そのことに気づくまで、あと何行かで失敗を繰り返しました。
そしてようやく戦法を変える必要があることがわかり、最後にトライした地銀では、差全く逆の姿勢を見せることにしました。
姿勢その1
「私は空いた時間で不動産事業を営んでいます」
姿勢その2
「所有物件はほぼ満室稼働で、安定した利益を生み出しています」
姿勢その3
「借換は、返済力を高めるために必要なことです」
この最後の
返済力を高める
ということが、銀行が最も安心・納得するアピールポイントでした。
そして借換が成功し、結果的に年間265万円ものキャッシュフローが改善しました。
これは1億円くらいの物件を新規に購入したのと同じくらいの効果です。
銀行によって考え方・求められる姿勢は異なってくると思いますが、
基本は相手の視点で
「自分に何を求めているのか」
をよく考え、
出来る限り数字を使ってロジカルに伝えることが肝心なのです。