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TPPが不動産賃貸業に与える影響は?

  2015/10/22    業界裏ばなし

今、新聞やTVのニュースを賑わしている「TPP」。

TPPとはTrans-Pacific Partnershipの略で、環太平洋連携協定のこと。

 

「環太平洋」というのは、太平洋の周りの国々をさし、今回の協定の場合、

シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4ヶ国からはじまり、

その後、アメリカやオーストラリア、ペルー、ベトナムなどが参加、日本は2013年に加わりました。

 

この協定の主旨は、参加国間の関税撤廃と経済ルールの統一にありますが、

輸入関税がなくなったからといって、不動産業界には関係ないだろうと思っていたところ、

今週の全国賃貸住宅新聞に、興味深い記事が載っていました。

 

それは、協定の「投資」の章に設けられたISDS条項というものです。

外国人の投資家が、日本独自のルールに改善を求めることができるようになるかもしれないそうです。

 

その日本独自の商慣習の一つに、不動産仲介における「両手仲介」があります。

●両手仲介とは

一般的に、不動産売買が行われた場合、

買主は売買価格の3%+6万円を

売主も売買価格の3%+6万円を

それぞれの仲介会社に支払うことになっています。

 

ところが、もしも1社だけで買主も売主も見つけて来た場合には、その会社が両方の仲介手数料をもらえることになります。これを「両手仲介」と呼びます。

 

例えば1億円の物件を売買するケースでは、306万円×2=612万円が一気に入ってくることになりますね。

 

これがアメリカでは禁止されていることを、私は初めて知りました。

なぜなら、両方から仲介手数料を得る為に、仲介会社が意図的に情報操作をしてしまうケースがあるからだそうです。

●両手仲介のデメリット

本来、少しでも高い価格での売却を望む売主と、安く買いたいと思う買主の希望は相反するもので、1社での単独仲介では双方の利益の最大化が実現できません。

そういうことだったのか、と気づき、確かに昨年、私が木造アパートを売却した際、依頼した仲介会社が自社の顧客にその物件を斡旋、つまり「両手仲介」だったことを思い出しました。

その時、「この値段では売れない」と言われて価格を下げさせられたのですが、私は直接買主と交渉していないので、本当に売れないかどうかはわかりません。その会社が私の物件を売ることに集中してくれるなら、できるだけ多くの仲介業者を通して買主を見つけ、競合させながら希望売価で販売することもできたのかもしれません。

買主も自分の顧客だから、売りやすい価格にして商談をまとめようとする気持ちが働くのも理解できてしまいます。

その仲介会社が悪意を持ってそうしようとしていたとは思いません。

自社の顧客同士で売買をした方がスピーディーに話が進むということもあるでしょう。

しかし不動産投資家としては、そういう相手の思惑を理解しながらビジネスを行う必要があります。まだまだ勉強が足りませんでした。

その記事には、

「TPPで「両手仲介」そのものを禁止してしまえば、悪質な行為を防ぐことができ、不動産市場全体が健全化されることになる」

と、書いてありました。

もしもそういうことになった時、このように背景をきちんと理解した上で、ビジネスパートナーである仲介会社と、正々堂々と関わっていきたいと思います。

 

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