不動産で消費税還付が受けられなくなります
2015/12/22 業界裏ばなし
私がお世話になっている会計事務所さんから、残念なお知らせが届きました。
12月16日に「平成28年度税制改正大綱」が公表され、
平成28年4月1日以降は、
不動産購入の際に消費税還付を受けていたスキーム
が使えなくなる、とのことです。
これまで不動産を購入する際
・課税事業者選択届出書を提出して2年以上経過した法人で不動産を購入
・設置した自販機から課税売上を上げる
・不動産契約当月の家賃清算は放棄する
など
さまざまな条件をクリアすれば、購入時に支払った建物分の消費税が還付される
というやり方がありました。
これは確実に合法的なやり方であり、堂々と還付を受けられる素晴らしい方法でした。
私の消費税還付履歴についてはこちら。
しかし、この度の税制改正によって、その方法が使えなくなるらしいのです。
正しくは、
一旦は消費税が還付されるけれど、
それから3年後、また改めてほぼ同額の消費税を納めなければならなくなる
ということです。
消費税の還付を受けられる条件の一つとして、
課税売上/総売上(課税売上+非課税売上)
の割合が100%に近い必要があります。
例えば、ある法人の事業が
物品販売などの課税売上と
家賃収入などの非課税売上
の2種類で構成されるとします。
その時、例えば
課税売上 50万円に対し
非課税売上(家賃収入など)が200万円の場合には
50万円/50万円+200万円
=0.2
なので20%だけ還付される、となります。
家賃収入がゼロの場合には、
課税売上/(課税売上+非課税売上)が
50万円/(50万円+0円)
=100%
となるので、納めた消費税額のほぼ全額が返ってきます。
ところが今回からは
たとえ一旦は消費税が還付されても、
それから3年後(正確には不動産購入した期を含めて3期後)に、
もう一度
課税売上/(課税売上+非課税売上)
を各期(年度)ごとに算出し、
その比率に応じて消費税を納税しなければなりません。
つまり、
課税売上/(課税売上/非課税売上)
の割合を高くするためには
3年間(3期間)を通じて
家賃収入の2倍程度の「課税売上」が必要になります。
これでは、不動産賃貸業だけ
もしくは自販機を設置する程度では到底実現できません。
(詳しくはご担当の顧問税理士にお尋ねください)
というわけで、残された日数で消費税還付を受けるには
平成28年3月31日までの物件引渡し
もしくは新築物件の場合、
平成27年12月31日までに工事請負契約の締結
をやってのける必要があります。
なかなか厳しい状況ではありますが、
消費税還付ができないからといって
本来の不動産投資を揺るがすものではありません。
あくまでも参考情報として、
淡々と受け止めていきましょう。
知らないよりは知っておいた方が良いと思うのです。
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