賃貸物件で入居者が死亡したら?
2016/08/14 誰にも聞けない基本知識
賃貸業界において、入居者の自殺をめぐる損害賠償請求が
問題になっているそうです。
部屋の原状回復はもちろん、
場合によってはバスタブを交換する費用、
それに
事故物件として次の入居者が決まり難いことによる
空室期間の家賃保証など、
合わせて数千万円を請求されることがあるとのこと。
今までは自分の所有物件で
入居者に死なれるのは
純粋に気の毒なこと
くらいにしか感じていませんでしたが、
こういう記事を読んだりすると、
本当に他人事ではないと感じます。
内閣府の「平成27年版自殺対策白書」によれば
日本は世界で見てもロシアに次いで2番目
に自殺者が多いそうです。
警視庁によれば、
2015年の自殺者数は、2万4025人。
ピークだった2003年の3万4427人と比べると減少していますが、
いまだに高い水準であることには変わりありません。
この他、世相を反映して高齢者の孤独死も増えると予想されています。
死亡原因のトップは健康問題で、生活保護受給者も多いそうです。
死亡されてからしばらく経つと
消臭や清掃に手間がかかり、
原状回復費用に数百万円を要する場合もあるそうです。
その上、そういった部屋には
次の入居者を入れる時に
事実を告知しなければならないので
ますます空室が埋まらない可能性があります。
その分、家賃を低く設定するケースが多く、
何も気にしない人にとってはお得なのですが、
もちろん少数派ですので
苦労する可能性は高いです。
まだ私には経験がありませんが、
物件を多く持てば持つほど
このリスクは高まるでしょうし、
家賃が安く、高齢者や生活困窮者を対象にした
物件であればあるほど
発生率が高まります。
唯一所有の一棟物件でこのような事故が起きれば
それはもう死活問題です。
だからこそ、当事者の親族や保証人に
損害賠償請求を行う管理会社やオーナーは必死になります。
しかし、これもまた法律で完全に規定されていない部分が多く、
過去の判例を基準に個々のケースを処理していかざるを得ない状況です。
現時点で認められている賠償は、物理的な設備の交換費用と
3年分の家賃補償ぐらいだそうです。
オーナーとしての対策は
せめて保険に入っておくくらいでしょうか。
ある保険会社では、
1戸あたり300円の保険料で
原状回復費 最大100万円
家賃補償分 最大200万円
が支給されます。
ただし、実際に保険金を支払ったケースは
累計で5、6件に止まっているそうです。
さらには、一人暮らしの老人に
家賃滞納や電気の停止などに応じて
存在を確認してくれる
「見守りサービス」というのもあります。
いずれしろ収益物件のリスクは
挙げればキリがないし、
思い悩んでいても何の解決にもつながりませんので、
考えられる回避策を考え、情報を仕入れながら
行動していくしかないのです。
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