知らないと落とし穴にはまる。収益物件の「利回り」の罠
2015/08/27 投資の考え方
収益不動産を選ぶ時、広告に表示されているのは
「表面利回り」といって、
物件価格に対し、満室の時の家賃収入がいくらになるか、
という価値の目安にされています。
つまり、1億円の物件に対し、
満室時の家賃収入が年間1千万円のとき、
表面利回り10%
と表記されます。
満室時の年間収入が800万円のときは
表面利回り8%
という風にですね。
ではなぜ「表面」という文字がつくのか。
それは文字通り、とても表面的なものだからです。
ベースとなるのは「満室」時。
でも一年中、一度も退去がない物件って、
結講珍しいのです。
例えば1棟のマンションに10部屋あるとして、
それがすべてワンルームの単身世帯だった場合、
入居者が大学を卒業したり、会社員で単身赴任が解かれたりする人は
普通にいますから、そうするとやがて退去の時期が来ます。
業界の契約期間は通常二年間なので、
一年を通じていずれかの部屋が契約満了を迎える可能性は
十分あり得るわけです。
その時に契約を更新する人もいるし、
転居を考える人もいます。
そして、一旦退去があったら、
その部屋をきれいにクリーニングし、
必要に応じてリフォームしたりして、
新しい入居者の募集に備えます。
そこには当然、費用がかかります。
そしてオーナーは、
新しい入居者を募集する際には「広告費」を、
入居が決まった時には「仲介手数料」を
不動産業者に支払います。
これが大体家賃の2〜3ヶ月分になります。
ですので、
一旦退去者が出ると、
その月の家賃がもらえなくなるだけでなく、
あっという間に数ヶ月分のお金がとんでいく、と
覚えておくと良いでしょう。
ですので、「表面利回り」とはあくまでも表面であって、
かなりあり得ない「一年中満室だった場合」と想定されて
いることを認識しておいてください。
優良な物件運営の場合、私の経営実績の実感も含めて
表面利回りのおよそ95%程度だと、ラッキーな方です。
建物が古くなれば家賃下落もありますので、
最悪時を想定して表面利回りの80%とか、
年々2%ずつ減らしていく、
といったシビアな見方をする投資家もいます。
いずれにしろ物件を取得したら、
表面利回り通りの収入が入る、などと安心・油断してはいけません。
できるだけ100%に近づけるよう、
自らの弛まぬ経営努力が必要になるのです。