サブリースの会社も安心できない?
2016/01/26 業界裏ばなし
の全国賃貸住宅新聞に、あってはならない事件の記事が掲載されていました。
(一部抜粋)
「借り上げ賃料未払いのまま音信不通の管理会社」
兵庫県姫路市でアパマンショップを運営する日本住宅サービスが管理契約を交わす家主に昨年12月分の集金家賃を送金しないまま店舗を閉鎖している。保証会社などの取引先も一切連絡を受けておらず、社長の橋中雅明氏の消息は途絶えたままだ。
これはどういうことかというと
本来、収益物件のオーナーは、家賃の集金を管理会社に任せているケースが多いです。
もちろん自分で入居者さんのところへ行って、
「今月の家賃、払ってくださいよー」
と取り立てに行っても良いのですが、
特にサラリーマンなど他に仕事を持っている人は
そんな時間がとれないし、
その上、万が一滞納や不足金などがあると
いよいよ自分で
何回も取り立てに行かなければなりません。
これを滞りなく行うのが「管理会社」です。
合わせて入居者の募集や更新手続き、
退去時の立会いや部屋のクリーニングなど
人の入退去に伴うあらゆる業務を請け負ってくれます。
そのためにオーナーは、
家賃収入の3%〜5%程度を
手数料として
管理会社に支払うようになっています。
管理会社としては
オーナーに約束した家賃回収をきっちりと行うため、
保証会社を通じてその入居者の信頼性をはかり、
毎月家賃を回収して、これをオーナーに送金します。
従って入居者は、直接オーナーと接することはほとんどなく、
管理会社に家賃を納め、管理会社がまとめてオーナーに渡す
という仕組みです。
ところが今回、その信頼すべき管理会社が、
入居者から家賃を預かったまま
オーナーに送らずに持ち逃げした
という事件が起きました。
なぜこういうことが起きたのか、というと
一つは「サブリースの失敗」
が原因のようです。
サブリースとは
前述の「家賃回収代行」をさらに便利にしたものです。
あらかじめ決めた家賃で満室状態を想定し、
あとは入居者がいようが空室になろうが
常に満室分の家賃をオーナーに支払う
という契約です。
これは便利!
と思うかもしれませんが、
そこはちゃんとリスクもあります。
満室が永遠に続くことはあり得ないことなのですが
それを保証する、ということなので、
1部屋あたりの家賃を「満額」ではなく、
80%〜90%に設定します。
具体的には、
家賃5万円×10室の場合、
サブリース契約で家賃の80%保証をすると
4万円×10室=40万円を
管理会社からオーナーに支払う
という感じです。
オーナーにとっては
満室率100%の時は、20%分を管理会社に持って行かれますが、
満室率40%になってしまった場合でも、80%分は家賃が確保できる
ということになります。
常に満室にできる自信があるなら
サブリースなんてしない方が良いし、
わりと頻繁な入退去や空室が心配な場合には、
割高の手数料を払って
サブリースにするのも一つの手です。
サブリースを請け負う会社は、
当然、オーナーに約束した金額よりも
高い家賃と満室率で運営しないと
まずいワケです。
今回の事件は、
その“さじ加減”に失敗したことで起こりました。
オーナーに約束した家賃よりも
低い家賃でしか成約できなかったか、
予想以上に空室が多かったのでしょう。
こうなると管理会社がその分を補填して
オーナーに支払わなければならないので
経営が立ちいかなくなり、
夜逃げした、
ということですね。
サプリースで
管理会社の方が失敗するケースは
(私は)初めて知りました。
本来、サブリースは
オーナーの方が慎重に選択するべきスキームです。
「家賃が満室保証されて安心」といっても、
数年後に見直されて減額されることがほとんどです。
空室の心配はなくなるけれど、
家賃収入はゆっくり、確実に減っていく
ということを理解して
取り組まれるのがよいと思います。
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