不動産オーナーとして熊本地震に思うこと
2017/04/13 最新情報
熊本地震の発生から4月14日でちょうど1年を迎えます。
もう一年か、と思ってみたり
当時の熊本城の石垣が無残にも崩れている様子をTVで見て、
胸が痛くなったことをしみじみ思い出します。
震災が起きてしまったエリアは
不動産業界もさぞかし打撃を受けているかと思えば
別の見方もあります。
実際、現地では被災者の住宅確保が課題で
自宅が全壊もしくは大規模半壊となってしまった人は
別の住居に移り住む必要があり、
このための入居が
1万3,530件にものぼったそうです。
このため、使用できる物件では
入居率98%以上。
賃料も2,000円程度アップされました。
これまでは退去のたびに
賃料を2,000〜3,000円下げざるを得なかった物件でも
現在は賃料を上げ、
それでも募集した翌日には申し込みが入る
という状況です。
一方、仲介を行う管理会社は
そもそも紹介物件が激減、
入居はあっても退去が出ない
という状況で、
仲介手数料を売り上げのメインとしている企業は
2月・3月の繁忙期であっても
かなり厳しい状況だったようです。
また、物件の管理を行う会社では
これまで自主管理していたオーナーからの
新規依頼が増え、震災前と比べて
管理戸数が40%も増えたところがあります。
地震保険の成約率も全国的に上がっていることでしょう。
一度震災が起きると
そのエリアの住宅事情は、その後の将来を見据えて
とても気になるところです。
震災時の特殊な状況を冷静に見つめる
地元の不動産会社では
満室に近い成約率、
家賃を上げても次々と入居が決まる
という特殊な状況は
3年もすれば終わりが来る
と見ています。
仮設住宅の代わりに住んでいた人も
元の家に戻るとき、一気に退去が出て
そこからはよくて元通り。
その時期に備えて今から
付加価値アップのための設備増強に
備えなければならない
と危機感を持つところもあります。
それでも、地元の人はとても愛着があるので
震災が起きたからといって
人口が減るというものでもなさそうです。
私自身、2011年の東日本大震災で
関東で最も被害の大きかったエリアの一つ
千葉県浦安市に戸建ての自宅を持ち、
液状化によって家が8.3㎝傾きました。
当時は道路が割れ、道は真っ黒な泥で埋め尽くされ、
ガスも水も出ない、電気も制限されるという
生活を強いられました。
そして妻も子どもたちも、
傾いた家では三半規管がおかしくなり
気分が悪くなって30分といられないというので
被害のないエリアに六畳一間の部屋を借りて2ヶ月間
避難生活を送りました。
その時に、住居を提供できる不動産オーナーの
社会的意義を、
自分が入居者になってみて初めて感じ、
自分もいつか、社会に貢献できる不動産オーナーにならなければならない
と決意を新たにしたのでした。
あれから6年経ちますが、
私の自宅前の道路は昨年暮れに、
ようやく舗装が完了しました。
他の場所ではまだ引き続き工事が行われています。
震災のツメ跡、というものを
とても身近に感じているわけですが、
それでも浦安市の人口は
震災以降も増加の一途を辿りますし、
私自身、この街を出て行こうとは全く考えません。
住み慣れた土地、住み慣れた家は
多くの人にとって、一生ものですね。
そういうことを意識しながら
人の住まいを大切にする
不動産オーナーを志ざします。
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