民泊ビジネスに捜査のメス?
2015/11/12 業界裏ばなし
今、不動産投資家の間で注目を集めている「民泊」。いわゆる空き部屋を旅行者などに短期間貸し出すシステムのことですが、この度、京都の警察から「旅行業法違反」の疑いで捜査のメスが入りました。
11月5日、京都市内の5階建て賃貸マンションを無許可で、宿泊所として中国人観光客らに貸し出した旅行代理店関係者2名が、京都府警生活経済課と右京署から事情聴取されました。
この「無許可」というのが今の「民泊」のグレーな部分で、多くのオーナーさん達が背負わなければならないリスクです。
なぜなら、本来、一般顧客を宿泊させるには、旅行業法に則って許可を取って置かなければならないからです。変な人が勝手に宿泊所を経営してトラブルにならないようにするためですね。
しかし通常行われる「不動産賃貸業」にはそういった許可が必要ありません。そして賃貸業には特に期間が決められているわけでもありません。商習慣としては2年契約が多いようですが、別に一年でも、1ヶ月でも、貸主と借主が合意すれば問題ないのです。
そこに目を付けたオーナーさんが、1週間でも2、3日でも、空室にしておくよりはマシ、さらに短期貸しで回数を増やせば月々の家賃よりも収益が増える場合もある、ということで、旅行者を受け入れるようになりました。
利用する旅行者にとっても、ホテルの予約がなかなか取れない、予算が合わないなどの事情があると、普段は賃貸マンションとして貸し出されている部屋を格安で借りられるなら魅力、ということになり、需要と供給がマッチするのです。
そういった賃貸オーナーと旅行者を結びつけるサイトの一つがAir bnb(エアー・ビー・アンド・ビー)です。
今回捜査が入った物件は、今年7月から10月にかけて、旅行代理店が窓口となり、1泊6,500円から8,000円でツアー客などに貸し出していたようです。
他の入居者から「外国人観光客が騒がしい」と度々苦情が寄せられたことから捜査が行われ、大規模に営業が行われていることが発覚しました。
こうなってくると、確かに民泊ビジネスの悪いところだけが目立ち、一般住民に迷惑をかけるもの、となってしまいます。本来は新しい「部屋貸し」のスタイルとして需要と供給を結びつけ、経済活動を活発にする素晴らしいビジネスモデルになるはずなのに、やはり「良いことばかりではない」、ということです。
そして「民泊」は、空き部屋があれば誰でもできる、というわけではありません。
それなりに観光地へのアクセスが良かったり、ホテルと似たような設備(ベッドやセキュリティー関連など)を取り揃えて置かなければなりません。それでも実際に利益を挙げている人がいるので、オーナーとしてはその動向を見守っておくことも大切です。
民泊についてはこれまでのブログでもお伝えしましたが、10月末には全国で初めて、大阪府の議会で条例案が可決されました。これからは、きちんと行政が条件を整備して、これまでの旅館・ホテルだけでなく、賃貸マンションでも宿泊営業を認めようという動きになってきています。
そんな中で、勝手に運営すると迷惑がかかる場合もあるんだよ、ということを例として示したのが今回の京都の一件なのでしょう。
賃貸業界の新しい動きとして注目を集めている「民泊」と「Air bnb」。
これからの賃貸経営にとってプラスなるかどうか、これからも動向を見つめていきたいと思います。
民泊とAir bnbに関するこれまでのバックナンバーはこちら。
大阪府で民泊の条例が可決。不動産オーナーは賛否両論?
Airbnbはこれからどうなっていくのか?
Airbnbって何ですか?
*全国賃貸住宅新聞(No.1200)より、記事の一部抜粋
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