不動産投資でいう「利回り」って、いったい何なの?
2015/11/25 投資の考え方
私は専門用語や業界用語が大キライなのですが、この度、本を出版することになり、できるだけ用語を使わず、トコトンわかりやすく解説し、初めての方でも安心して読みやすい内容にしよう、とコンセプトを決めました。
そして昨日、出版社の方と打ち合わせをした際、編集者さんから
「不動産の利回りって、どのように理解しておけばよいですか」
と念押し確認が入りました。
なるほど。利回りといえば、投資に対するリターンのことですが、
不動産投資でいう「リターン」とはどの部分なのか、
ということがあいまいになることが多いようです。
では、不動産業界で言う「利回り」の意味を3つ、超カンタンに解説します。
1.表面利回り
「グロス利回り」とも言われ、単純に満室時の家賃収入を物件価格で割ったもの。
家賃収入が1,000万円で物件価格が1億円だったら、利回り10%。家賃収入が800万円だったら利回り8%。
つまり、利回りが高いほど、物件価格の割に家賃収入が多い、ということ。逆にいうと、利回りが高い物件は、得られる収益に対して購入価格が安い、となります。
実際には賃貸経営するのに管理費やら税金やらいろいろな経費がかかるので、
家賃収入が1,000万円あったとしても、経費はそこから20%くらい持っていかれます。
表面利回りの通りの収入は、まずあり得ません。
あ、でもこれ、「偽り」とか「騙す」という意図はないのです。あくまでも同じ基準でシンプルに物件を比較するための指標と認識してください。
2.実質利回り
「ネット利回り」とも言われます。
前述の年間家賃収入—20%くらいの経費(管理費や固定資産税など)を計算し
物件を買うときにも登録免許税などの諸経費を上乗せされます。
そういった実質的な投資額と、得られる収入を計算したのが「実質利回り」。
当然ながら、表面利回りよりも厳しい値になります。
管理費や税金は、物件によって大きく変動しますから、いざ買おう、と思った際に、慎重に検討するべきものです。
ところでこの「グロス利回り」とか「ネット利回り」とか、時々本に書いてあったりするので記載してみましたが、はっきり言って覚える必要ありません。
カタカナを使えばいいってもんじゃない。
表面利回り・実質利回り で十分意味が通じます。わざわざわかり難くすることもないのです。
「本質はココ!」
表面利回りの高い物件を見て飛びついても、
それはほとんどが空室だったり、
老朽化していて修繕費がかかったり、
エレベーターや立体式駐車場があって電気代などの経費
が大きくかかってしまうような物件であることが多いのです。
表面利回りが高いものは高いなりの理由がある、ということです。
それでも、基準はみな「表面利回り」で表示されています。
表面利回りの高さだけに魅力を感じていると火傷するので、
まず「表面利回り」を基準にして物件をふるいにかけ、
気になる物件を見つけたら個別に「実質利回り」を確認する、
という順序でアプローチするのです。
3.NOI利回り
あともう一つ、業界ではNOIといって、経済評論家が好きそうな利回りがあります。
これは Net Operating Income の略で、
覚えておくと
へぇー、よく知っているねー。と言われることがあります。
でもそれだけです。
会社の経営状況をどこかで発表するときには、このNOI、つまり
営業純利益とは、
満室賃料前提のオメデタイ数字は使いません。
収入には実際に空室だった期間の家賃をカウントせず、
運営にかかるさまざまな経費を全部差し引いたものを「営業純利益」と呼び、
不動産価格で割ったものを「NOI利回り」といいます。
NOIは実際に経営して初めて論じられるものですので
買う前に出ているものがあるとしたら、それはあくまでも予測、ということで
気にしなくて良いと思います。
とにかく一般的に不動産投資でいう「利回り」とは
「表面利回り」のことで、
物件を比較するときにはある程度参考になるけれど、
購入するときには、
借り入れ金利や管理費・経費を同時に考えて
いくらくらいお金が手元に残るのか
ということを意識しておくことの方が
よほど重要なのです。
桜木不動産投資塾
のホームページはこちら