投資判断における利回りと金利とキャッシュフローの関係
2015/09/01 投資の考え方
物件を購入する際、とかく「利回り」ばかりに気を取られていませんか?
不動産投資の判断で最も重要なのは「利回り」よりも「キャッシュフロー」なのです。
キャッシュフローの算出方法については前回のブログでお話ししましたのでご参照ください。
こちら。
さて、私たちが日頃「物件概要書」を目にするとき、まずは「利回り」の欄に着目します。
これは当然のことなのです。
では、その概要書に記載されている利回りが
11%だった時、「高い」→「買い」
8%だった時、「低い」→「見送り」
と判断するのは早計です。
なぜなら、投資効果を測るには「利回り」と「借り入れ金利」をセットで考えないといけないからです。
例えばフルローンの時、物件価格と同じ額を借り入れるとします。
その時、
家賃収入の利回りが11%で
借り入れ金利が4.5%だった場合、
11%−4.5%=6.5%
つまり6.5%がローンを引いた後の残りになります。
一方、
利回りが8%で借り入れ金利が1.2%だった場合、
8%−1.2%=6.8%
となり、6.8%が手残りになりますから、
利回り8%でも、借入金利によっては11%のものよりも利益が残ります。
同じ金利でも、返済期間が長ければ年間の支払額が減り、
利益が増えることになります。
物件によって、融資してもらえる金融機関が異なるケースでは特に
このようなことが起こります。
ですので、利回りを見た時に、
借り入れ金利はいくらか
返済期間は何年か
を合わせて考えておかないと、判断を誤ることがあります。
家賃収入からローン返済額を引き、
更にそこから管理費や税金等の必要経費を差し引いた額が
「キャッシュフロー」
となり、これが実際の利益を意味します。
ですので、物件購入を考える時には利回りだけでなく、借り入れ金利と経費も合わせてシミュレーションし、「キャッシュフロー」をしっかり把握しておくことが大切です。
そして、利回りもキャッシュフローも、満室率100%の場合だけでなく、
95%・90%・85%
というように、
いくつかのケースを想定して算出しておいた方が良いでしょう。
満室率100%というのは、一年間で一度も入退去がない場合ですので、
実際にはそんなことは稀です。
85%、もしくはそれ以下の満室率で算出しておけば、
自動的に「空きが何部屋あると赤字になるか」が一目でわかるようになります。
また「キャッシュフロー」は、
家賃収入に占める割合(%)だけを見るのではなく、
金額の絶対値で把握することもできます。
現在の私の場合では
1億円の物件に対して200万円のキャッシュフロー
を一つの目安としていますので、利回りの大小に振り回されることはありません。
このように、キャッシュフローを正しく理解しておけば、購入後の経営改善や次の一棟を買う時にも大いに参考になり、客観的な判断ができるようになるのです。